ダニは語る

 ボクたちの仲間は、日本だけで1800種も発見されている。ボクたちを研究するためのダニ学会と言う立派な学問の組織までできているそうだ。

 ダニ・ダニと毛嫌いされているけれども、悪いことをするのはほんの一部。多くの仲間は土壌中に住んでいる。森では枯葉や枯枝などの有機物の分解のために働いて、環境保全にも大いに役立っている。堆肥の生産にだってボクたちの力は欠かせないのだ。人間に悪いことをしたり、植物に害のあるダニを捕食する仲間もいる。この性質を利用して、植物のダニ被害を防ぐ方法もある。ダニはダニをもって制すといったことだ。

人やペットに悪さするダニの主なもの

 イヌ、ネコなどから吸血するマダニはときに人も刺す。ペットの鳥に住むダニも居て、やはり人間を刺すこともある。このダニは、ツバメやスズメ、ハト、ニワトリなどについている。ツツガムシは病原性のあるリケッチアを運ぶので昔から恐れられている。恙無いと言う言葉はここから出た。

 イエダニは、家の中に居るダニだからイエダニと言うわけではない。本来、ネズミにつくダニで、昔はどこの家にでも天井にネズミが居たからこのダニも沢山居たわけで、ネズミが居なくなっておなかがすくと、仕方ないから人間から血をもらう。それで騒ぎになるわけ。

 人間に寄生するのは2種類だけで、ヒゼンダニとニキビダニだ。このうちヒゼンダニはイヌ、ネコにつく種類もある。

 食品や室内塵につくのは主にコナダニの仲間で、畳について黒い畳べりが白い粉をふいたようになって騒がれるが、そんなに人に迷惑をかけてはいない。

 人を刺すとか刺さないとか問題になっているのがツメダニで、ペットにもつく。しかし、この仲間は次に話すチリダニ類を捕食している。

 最後に登場する主役はチリダニだ。この連中は常に人間や動物と一緒に生活している。人間や動物の汗や呼気から水分を摂り、”ふけ”つまり皮膚の落屑したものが大好物。まぁ、人間のペットだと思えばよい。人間が生れてから死ぬまで肌身離れず忠実にいっしょに暮らす。

 さて、この連中の中にヒョウヒダニと呼ばれる仲間が居るが、こいつの死骸や糞が細塵化して人間にアレルギーを起こすので憎まれてしまったわけだ。

 だがちょっと待ってくれ。昔から居たものが何故近頃になって大騒ぎされなくてはならないのだ。つまり何故近々数十年のうちにこんなに悪役を演じなければならないのか。ダニはちっとも変わっちゃいない。昔から同じダニはダニ。ダニに悪役の役どころを与えたのはキミたち人間が変わったからじゃないのか。

 なに!よくわからん?

 食物、大気汚染・室内環境汚染、高気密住宅・密閉型生活習慣

ダニからの警告

 聖徳太子が隋の煬帝に宛てた国書に「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す、恙無きや…」と言ったことは有名だが、この頃からダニはダニ。今ならさしずめ、「表皮蝨無きや…」と書くところ。人間は、無謀な自然破壊によって、今日將に滅びの途を歩んでいる。ダニアレルギーなどまだ軽いもの。これがボク達ダニ(自然)の警告だと言うことに気付いて欲しい。

住まいに住む主なダニ

コナダニ

穀物や穀粉など植物性食品、カビを食べる。畳に住む種類もいる。

ニクダニ

チーズ、ハム、干魚、皮革製品、穀物、室内塵内の有機物が食餌。

ササラダニ

土壤内に住んで、有機物を分解し、土の自然環境保全のため働いている益ダニ。靴などについた泥といっしょに持ち込まれる。

ツメダニ

コナダニ、ニクダニ、ササラダニ、そしてチリダニを捕食する。室内塵に居るチャタテ虫、ノミの幼虫も食べる。(一種の益ダニ)

チリダニ

室内塵中にいちばん多い。アレルギーの原因(アレルゲン)となるヒョウヒダニはこれに属し、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニの2種類がある。

コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニ

 それでは、アレルゲンとして重要なこの2種類についてもう少し詳しくお話します。

【至適温度】ダニは卵生です。この2種については、およそ1〜2ヵ月で成虫になり、寿命も1〜2ヵ月と報告されています。至適温度は25〜30℃位で、人の生活に快適な温度で増殖、活動が盛んになります。

【至適湿度】更に重要なのは至適湿度です。湿度条件によって生存可能かどうか決まります。チリダニは体重の70%~80%が水分ですが、ダニは水を飲むことができず、空気中の水分が体表面から出たり入ったりしているからです。ヒョウヒダニにとっていちばん適した相対湿度は70~73%と報告されています。

【食事】カビの胞子は、人間で言えばパンやお米。人やペットのふけはビフテキやウナギといったところ。そこで注意すべきは、相対湿度70~73%付近を好適湿度とする好乾性カビが多いとこれらのダニも多いのです。何と言ってもヒョウヒダニにとっては名前の通り人やペットの表皮の落屑したもの、つまり「ふけ」はなくてはならない食事です。

【住まい】ヒョウヒダニの住まいはどうなっているのでしょう。人やペットの生活しているところならどこでも住んでいます。最も好きな住まいは、室内塵がたまっているところ。ふかふかのほこりのベッドで快適に過ごしています。
 マットレスや布団、毛布、枕。カーペット、畳の表や裏。ソファー、クッション。ぬいぐるみ。室内塵のたまり易いところならどこでも住んでいます。自動車の座席や学校の床にも。
 平均的な家庭のカーペットには1uあたり約4
gの室内塵が堆積しており、この中に約3300個体のダニが数えられ、そのうち生きているダニは約770個だったとの報告があります。(森谷ら、1984) 

 −医学博士 服部芳樹著 ユーカリの小さな本より−


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